大ブレーク中の音楽ユニットYOASOBI。1月上旬、都内のラジオ局から出てくると、疲れを感じさせないほどの笑顔をみせていた。昨年大みそかのNHK紅白歌合戦にも初出場を果たした、今、最も話題性のある2人である。
ともに黒いマスクを着用。ボーカルのikura(幾田りら、20)は、黒のレザーコートにグレーのつば付きハット、コンポーザーのAyase(26)はブラックのタートルニットにアクセサリーを合わせ、2人ともオシャレさが際立っていた。
YOASOBIは、2019年10月1日に結成して、配信限定のシングル曲「夜に駆ける」でデビュー。約半年後の昨年4月に、LINE MUSICの月間ランキングで初の1位になった。ショート動画アプリ・TikTokやYouTubeなどで若い世代の支持を得て爆発的に広がっていき、昨年10月には同曲のMVが1億回再生数を超えて、紅白へとつながっていったのである。
ikuraは、デビュー前から業界内で努力家として知られていた。
小6から作詞作曲を始めて、14歳のときにはブログで「歌うことの意味をとても感じてます。それで、人の心を動かすことができることを知ったからです」と綴るほど。レコード会社・ソニーミュージックが主催する新人アーティスト養成講座にも参加していた。
そして2018年、高校2年生のときには、関ジャニ∞の村上信五(39)が司会をした音楽バラエティ番組『今夜、誕生!音楽チャンプ』(テレビ朝日系)に“24時間音楽漬け女子高生”というキャッチフレーズで出演。秦基博(40)のヒット曲「ひまわりの約束」を歌って、惜しくも1回戦で敗退したが、当時から透明感のある歌声は、審査員たちにも高く評価されていた。当時のikuraは「これからも進み続けて、挑戦し続けます。見守っていただけたらうれしいです」と誓っていた。
その後も、インディーズでミニアルバムを制作するなど歌手活動を続けていたikura。2019年夏にスキマスイッチの「全力少年」をカバーで歌い、東京海上日動あんしん生命保険のCMソングに採用されるころから、注目され始めた。
そして、その数か月後にはAyaseと組んで、「小説を歌にする」というプロジェクトユニット・YOASOBIが生まれたのである。音楽雑誌編集者が語る。
「従来のようなCDシングルをリリースして売っていく手法ではなく、配信限定で曲をどんどんリリースしていき、YouTubeやTikTokでブームを広げていく戦略がハマっています。今年に入ってからMVがリリースされた新曲『怪物』は、早くもランキング入りしています。これはTVアニメ『BEASTARS』のオープニングテーマで、アニメの世界観に合わせて作られました。3月にCDが発売される予定となっていますが、今から大ヒットが予想されています」
『怪物』はCD発売より2か月も早くYouTubeでMVが配信されているわけで、先に無料で聴ける状況を作り出しているのだ。振り返れば、YOASOBIは紅白がテレビ初歌唱であり、これまでのアーティストが行ってきた「音楽番組に出演してプロモーションする」という戦略とは順番がまったく異なる。
異例づくしでヒット街道を突き進むYOASOBIだが、もちろん販売戦略だけではここまでの国民的人気とはならない。根底に前述のような地道な努力があったからこそ、結果が出たのだろう。今年も“怪物”級の活躍をしてくれるはずだ。
https://news.yahoo.co.jp/articles/5de2fee2ce2cd06edf42235690f78e387efb401f