巨人は2人目の新外国人として、メジャー通算196発のジャスティン・スモーク(34)と2年契約を結ぶことで合意した。推定年俸は300万ドル(約3億1500万円)。左投げのスイッチヒッターは、2017年にはブルージェイズで自己最多の38本塁打を記録している。日本一奪還を狙うジャイアンツの救世主となるか。
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スモークは、サウスカロライナ州グースクリーク出身。2008年にレンジャーズに入団し、10年にメジャーデビューを果たした。その後マリナーズ、ブルージェイズ、20年はブルワーズとジャイアンツでプレーしたが、9月に自由契約となっていた。
メジャー11年で打率.229、196本塁打、196二塁打、570打点という成績を残している。
「米南部の田舎から出てきた真面目な青年で、敬虔なクリスチャンです。奥さんは高校時代の恋人で、趣味は鴨撃ちと聞いています」
と解説するのは、メジャーリーグ評論家の友成那智氏。
「マリナーズ時代、イチロー選手と共にプレーしていたので、日本人にも馴染みがあるかもしれません」
もっともマリナーズでは、好成績を残せなかった。
「マリナーズでは、完全なレギュラーではありませんでした。バッティングが荒っぽかったからです。右打席の時は、スムーズにバットが出ますが、左打席では力んでしまう。歯を食いしばって、顔が真っ赤になるまで力を入れていました。緩急のある球が苦手で、チェンジアップやカーブなどの変化球にもタイミングが合わなかった。その結果、低打率、低出塁率、高三振率で低迷していました」
マリナーズ時代の打率は、よくて2割3分台、悪い時は2割台スレスレだったという。
ブルージェイズで開花
「しかし2015年にブルージェイズに移籍すると、才能が開花しましたね」(同)
どう変わったのか。
「いいバッティングコーチに出会ったのでしょう。まず、力まなくなりました。それから、早打ちしなくなりました。彼は元々選球眼が良くて、ボールゾーンスイング率は23%です。メジャー平均は32〜33%ですから、かなり低い方です。それに加え、ストレートが来るまでじっくり待って打つようになったんです」(同)
さらに、ボールをすくい上げるようなスイングから、ライナーを打つスイングに変えた。
「マリナーズ時代は、ライナー率(全打球のうちライナーの比率)が10数%でしたが、ブルージェイズに移ってからは、20数%まで上がっています。着実にミートするバッティングに変えました。そのため、フルスイング率(全打球のうちフルスイングの比率)は、マリナーズ時代は50%を超えていましたが、ブルージェイズに移ってからは、それより10%下がっています。全く違うタイプのバッターに変貌を遂げました」(同)
結果、右中間や左中間を抜けるライナーを打つので、二塁打が多くなったという。
「二塁打はマリナーズ時代、年間最高で24本。それがブルージェイズでは年間最高で34本打っています」(同)
ダルビッシュからソロ本塁打
そして30歳になった2017年には、打率.270、38本塁打、90打点を記録し、初めてオールスターに出された。18年は25本塁打、19年は22本塁打と3年連続で20本以上を打った。昨年は、打率.176、5本塁打と振るわなかったが、
「開幕が4カ月も遅れたわけですから、コンディション作りも難しかったはず。2018年と19年に首位打者だったブルワーズのイエリッチでさえ2割5厘しか打てなかった。昨年の成績はあまり参考にならないと思います」(同)
それでも、昨年8月のカブス戦で先発したダルビッシュからソロ本塁打を放ち、ノーヒットノーランを阻止した。どうやら、まだ衰えていないメジャーリーガーということらしい。
日本の野球にどのくらい対応できるか。
「セリーグの投手は、変化球も多彩で、コントロールも非常に良い。それに最初は戸惑うかもしれません。でも、辛抱して使って行けば、打率は.240以上、本塁打は25本以上打てると見ています」(同)
守備も安定していて、グラブ捌きもうまいという。巨人ではクリーンアップを任されそうだ。
巨人に入団したのは、日本で好成績を残しメジャーでの評価を上げるのが目的という報道もあったが、
「メジャーでは、35歳を超えた選手と契約するのはなかなか難しい。巨人で活躍しても、メジャー復帰はまずないでしょう。引退前に、日本で稼ぐのが目的だと思います」(同)
週刊新潮WEB取材班
2021年1月13日 掲載
https://news.yahoo.co.jp/articles/1b3589bfcdcee3b7d2400e22ef09299bee023f4b
1/13(水) 5:58配信
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スモークは、サウスカロライナ州グースクリーク出身。2008年にレンジャーズに入団し、10年にメジャーデビューを果たした。その後マリナーズ、ブルージェイズ、20年はブルワーズとジャイアンツでプレーしたが、9月に自由契約となっていた。
メジャー11年で打率.229、196本塁打、196二塁打、570打点という成績を残している。
「米南部の田舎から出てきた真面目な青年で、敬虔なクリスチャンです。奥さんは高校時代の恋人で、趣味は鴨撃ちと聞いています」
と解説するのは、メジャーリーグ評論家の友成那智氏。
「マリナーズ時代、イチロー選手と共にプレーしていたので、日本人にも馴染みがあるかもしれません」
もっともマリナーズでは、好成績を残せなかった。
「マリナーズでは、完全なレギュラーではありませんでした。バッティングが荒っぽかったからです。右打席の時は、スムーズにバットが出ますが、左打席では力んでしまう。歯を食いしばって、顔が真っ赤になるまで力を入れていました。緩急のある球が苦手で、チェンジアップやカーブなどの変化球にもタイミングが合わなかった。その結果、低打率、低出塁率、高三振率で低迷していました」
マリナーズ時代の打率は、よくて2割3分台、悪い時は2割台スレスレだったという。
ブルージェイズで開花
「しかし2015年にブルージェイズに移籍すると、才能が開花しましたね」(同)
どう変わったのか。
「いいバッティングコーチに出会ったのでしょう。まず、力まなくなりました。それから、早打ちしなくなりました。彼は元々選球眼が良くて、ボールゾーンスイング率は23%です。メジャー平均は32〜33%ですから、かなり低い方です。それに加え、ストレートが来るまでじっくり待って打つようになったんです」(同)
さらに、ボールをすくい上げるようなスイングから、ライナーを打つスイングに変えた。
「マリナーズ時代は、ライナー率(全打球のうちライナーの比率)が10数%でしたが、ブルージェイズに移ってからは、20数%まで上がっています。着実にミートするバッティングに変えました。そのため、フルスイング率(全打球のうちフルスイングの比率)は、マリナーズ時代は50%を超えていましたが、ブルージェイズに移ってからは、それより10%下がっています。全く違うタイプのバッターに変貌を遂げました」(同)
結果、右中間や左中間を抜けるライナーを打つので、二塁打が多くなったという。
「二塁打はマリナーズ時代、年間最高で24本。それがブルージェイズでは年間最高で34本打っています」(同)
ダルビッシュからソロ本塁打
そして30歳になった2017年には、打率.270、38本塁打、90打点を記録し、初めてオールスターに出された。18年は25本塁打、19年は22本塁打と3年連続で20本以上を打った。昨年は、打率.176、5本塁打と振るわなかったが、
「開幕が4カ月も遅れたわけですから、コンディション作りも難しかったはず。2018年と19年に首位打者だったブルワーズのイエリッチでさえ2割5厘しか打てなかった。昨年の成績はあまり参考にならないと思います」(同)
それでも、昨年8月のカブス戦で先発したダルビッシュからソロ本塁打を放ち、ノーヒットノーランを阻止した。どうやら、まだ衰えていないメジャーリーガーということらしい。
日本の野球にどのくらい対応できるか。
「セリーグの投手は、変化球も多彩で、コントロールも非常に良い。それに最初は戸惑うかもしれません。でも、辛抱して使って行けば、打率は.240以上、本塁打は25本以上打てると見ています」(同)
守備も安定していて、グラブ捌きもうまいという。巨人ではクリーンアップを任されそうだ。
巨人に入団したのは、日本で好成績を残しメジャーでの評価を上げるのが目的という報道もあったが、
「メジャーでは、35歳を超えた選手と契約するのはなかなか難しい。巨人で活躍しても、メジャー復帰はまずないでしょう。引退前に、日本で稼ぐのが目的だと思います」(同)
週刊新潮WEB取材班
2021年1月13日 掲載
https://news.yahoo.co.jp/articles/1b3589bfcdcee3b7d2400e22ef09299bee023f4b
1/13(水) 5:58配信