キックボクシングの世界王者の那須川天心(20)と、ボクシング元世界3階級制覇王者の亀田興毅(32)が、AbemaTVスペシャルマッチで対戦した。
天心は元世界王者の亀田を相手に、ボクシングでも高い実力を示した。
この試合でみせた天心の、
「持って生まれた3つの才能」について解説する。
絶妙な距離感
まず、天心の優れている点は「距離感」だ。試合では自分のパンチが当たる距離と、パンチをもらわない距離がある。
相手とのリーチや身長などで、パンチの当たる距離は変わる。そのため、いかに自分の間合いで戦うかがポイントになる。
今回の亀田戦では、天心が絶妙な距離感で、主導権を握っていた。
序盤に亀田の手数が少なかったのも、天心がいるポジションが絶妙だったからだ。
自分のパンチは届き、相手のパンチが届かないポジションを瞬時に把握していた。
亀田もトップボクサーなので、その辺りは熟知しているが、対峙してみて、思った以上にやりづらさを感じただろう。
試合後に、亀田も「自分のペースを崩さない。距離感がうまい」と話していた。
こればかりは持って生まれた才能で、トップクラスの選手が感覚として持っているものだ。
パンチを打つタイミング
また、「当て感」も素晴らしい。天心の攻撃を見ていると、その場のインスピレーションでパンチを打っている。
決まったコンビネーションを打っているのではなく、状況判断能力が恐ろしく早い。
そのため、空いている急所を瞬時に判断して、そこにパンチを打ち込むことができる。
ボクシングは、必ずしも強いパンチで倒れる訳ではない。
顔やボディに、いいタイミングでパンチをもらうと倒れてしまう。
ボクサーでいうと、現役最強と言われるロマチェンコも、強いパンチではなくタイミングで倒している。
天心はそのロマチェンコなどのトップボクサーが持つ、天性の当て勘を持っている。
また、打つ時のモーションもなく、非常に分かりづらいタイミングでパンチを打つ。
パンチを見極めるディフェンス
パンチをもらわない「ディフェンス」にも優れている。
ボクシングでは、ガード、フットワーク、ボディワークの3つでパンチを避ける。天心は、3つともレベルが高い。
亀田戦では、素早いステップワークとボディワークで、クリーンヒットをもらわなかった。
体も柔らかいので、寸前のところで見切り、避けていた。ボクサーや格闘家にとって、パンチをもらわない技術は非常に重要だ。
打たれ強さは、鍛えることができない。どんなに打たれ強くても、倒れグセがつくとダウンしやすくなる。
また、筋肉痛や疲労は休めば取れるが、体に残ったダメージは蓄積する。
長く格闘技をやるためにも、極力パンチをもらわない技術は不可欠だ。今回の試合でも絶妙な間合いで戦い、亀田の突進をいなしていた。
https://news.yahoo.co.jp/byline/kimurayu/20190625-00131467/
6/25(火) 6:00
木村悠 | 元ボクシング世界チャンピオン
天心は元世界王者の亀田を相手に、ボクシングでも高い実力を示した。
この試合でみせた天心の、
「持って生まれた3つの才能」について解説する。
絶妙な距離感
まず、天心の優れている点は「距離感」だ。試合では自分のパンチが当たる距離と、パンチをもらわない距離がある。
相手とのリーチや身長などで、パンチの当たる距離は変わる。そのため、いかに自分の間合いで戦うかがポイントになる。
今回の亀田戦では、天心が絶妙な距離感で、主導権を握っていた。
序盤に亀田の手数が少なかったのも、天心がいるポジションが絶妙だったからだ。
自分のパンチは届き、相手のパンチが届かないポジションを瞬時に把握していた。
亀田もトップボクサーなので、その辺りは熟知しているが、対峙してみて、思った以上にやりづらさを感じただろう。
試合後に、亀田も「自分のペースを崩さない。距離感がうまい」と話していた。
こればかりは持って生まれた才能で、トップクラスの選手が感覚として持っているものだ。
パンチを打つタイミング
また、「当て感」も素晴らしい。天心の攻撃を見ていると、その場のインスピレーションでパンチを打っている。
決まったコンビネーションを打っているのではなく、状況判断能力が恐ろしく早い。
そのため、空いている急所を瞬時に判断して、そこにパンチを打ち込むことができる。
ボクシングは、必ずしも強いパンチで倒れる訳ではない。
顔やボディに、いいタイミングでパンチをもらうと倒れてしまう。
ボクサーでいうと、現役最強と言われるロマチェンコも、強いパンチではなくタイミングで倒している。
天心はそのロマチェンコなどのトップボクサーが持つ、天性の当て勘を持っている。
また、打つ時のモーションもなく、非常に分かりづらいタイミングでパンチを打つ。
パンチを見極めるディフェンス
パンチをもらわない「ディフェンス」にも優れている。
ボクシングでは、ガード、フットワーク、ボディワークの3つでパンチを避ける。天心は、3つともレベルが高い。
亀田戦では、素早いステップワークとボディワークで、クリーンヒットをもらわなかった。
体も柔らかいので、寸前のところで見切り、避けていた。ボクサーや格闘家にとって、パンチをもらわない技術は非常に重要だ。
打たれ強さは、鍛えることができない。どんなに打たれ強くても、倒れグセがつくとダウンしやすくなる。
また、筋肉痛や疲労は休めば取れるが、体に残ったダメージは蓄積する。
長く格闘技をやるためにも、極力パンチをもらわない技術は不可欠だ。今回の試合でも絶妙な間合いで戦い、亀田の突進をいなしていた。
https://news.yahoo.co.jp/byline/kimurayu/20190625-00131467/
6/25(火) 6:00
木村悠 | 元ボクシング世界チャンピオン