東京で2度目の五輪開催。1964年以来56年ぶりにやってくるスポーツの祭典に、再び出場を目指すのが馬場馬術の法華津寛。大会に出れば79歳で迎えることになる。「もう一度東京、というのはモチベーション。出られたら本当に素晴らしいこと」と情熱をたぎらせている。
五輪初出場だった64年大会の時は23歳。「東京に(五輪が)来るなら僕も行けるという興奮があった」。当時は馬の輸送が困難で、海外の大会は出場すら難しかった時代。自国開催の五輪に胸を躍らせた。結果は障害飛越で個人40位。世界との差は大きかったが、「馬術はあまり観客が来る競技じゃない。ほぼ満席になっているのはすごかった」。競技が行われた旧国立競技場の光景が、今も鮮明に記憶に残る。
その後も競技を続けて2008年北京、12年ロンドンに連続出場。60歳を超えての活躍に「爺(じい)の星」として脚光を浴びた。ところが、「もう一回やったらやめようか」と考えていた16年リオデジャネイロ五輪で、馬の準備が整わずに出場断念。20年の東京出場へ、80歳手前となった自分を奮い立たせた。
現在はドイツを拠点に活動。毎日の乗馬訓練と、朝夕の自身のトレーニングを欠かさず、5年前から乗っている愛馬ザズーの調教も順調という。2月上旬にはリオ五輪断念以来、初めて大会に出場できるところまできた。
「馬が好きだからやっている。その結果としてうまくいけば東京まで行き着くかな」。控えめに笑うが、「五輪は特別なもの。そのためにという気持ちは強い」とも。半世紀以上を挟んだ晴れ舞台への思いは揺るがない。
◇法華津寛の略歴
法華津 寛(ほけつ・ひろし)米デューク大大学院卒。64年の東京五輪は障害飛越で個人40位、団体12位。その後は馬場馬術に転向し、08年北京、12年ロンドン五輪に出場。ロンドン大会の71歳は日本選手の最年長五輪出場記録。77歳。東京都出身。
時事通信 3/20(水) 5:34
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190320-00000004-jij-spo