【ロサンゼルス時事】2009年6月に急死した米歌手マイケル・ジャクソン氏による性的虐待被害の証言を扱ったドキュメンタリー映画が物議を醸している。没後10年を前に、ジャクソン氏に関連する作品や商品を取り下げる動きが出る一方、遺族は「公開リンチ」と強く反発している。<下へ続く>
映画は、米ケーブルテレビなどで今月放映された「リービング・ネバーランド」(原題)。2人の男性が、少年時代にジャクソン氏から長期間にわたって受けたとするわいせつ行為と、後々までジャクソン氏を擁護した心理を詳細に語っている。反響は瞬く間に世界に広がった。
報道によると、カナダやオーストラリアなどのラジオ局がジャクソン氏の曲の使用を中止したほか、米人気アニメ「ザ・シンプソンズ」の関係者は1991年にジャクソン氏が声のみで出演した挿話を今後は放送しないと表明。フランスの高級ブランド「ルイ・ヴィトン」は、ジャクソン氏をモチーフにしたTシャツなどファッションアイテムの商品化を取りやめた。
ジャクソン氏の虐待疑惑は過去にも浮上したが、2005年に刑事裁判で無罪となった。男性2人もかつては虐待を否定しており、ファンは「事実はうそをつかない。人間はつく」とジャクソン氏の無実を訴えるキャンペーンを展開している。
注目の背景には、社会的地位を利用した性的行為の強要を告発する「#Me Too」(「私も」の意)運動の影響もある。映画を制作したダン・リード監督は、英紙ガーディアン(電子版)への寄稿で「作品は、虐待者が生きていようが死んでいようが、時が来たら沈黙を破り、立ち向かおうとする人々のための明かりをともそうとする試みだ」と強調した。
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