今年の日本シリーズはソフトバンクが広島を4勝1敗1分で破り、2年連続の日本一に輝いた。2010年代に入ってから、セ・リーグが日本一に輝いたのは2012年の巨人だけ。他の8年間はパ・リーグが覇権を奪っている。野球担当記者が話す。
「シーズン成績でいえば、2010年は3位のロッテが1位の中日に勝っているし、今年も2位のソフトバンクが1位の広島を圧倒した。甲斐拓也の盗塁阻止が話題になりましたが、パ・リーグの選手はあの強肩をかいくぐってきた。セ・リーグは6球団が団結して何らかの対策を練らないと、このままパ・リーグに置いていかれますよ」(以下「」内同)
1980年代から2000年代まで、セとパの日本一比率は半々だったことを考えると、この10年で両リーグの差が一気に拡がったと考えられる。DH制の有無やドラフトで有望選手が入る確率の高さなどが指摘されている。
「もちろんそれもあるかもしれませんが、やはり選手の育成に力を入れている点が一番でしょう。たとえばソフトバンクは育成に豊富な資金を投入して『3軍制』を敷き、ファーム施設も日本最高クラスと評価も高い。そんなソフトバンクに引っ張られるように、他球団も負けじと設備投資やドラフト戦略に力を入れている。相乗効果で強くなっているのでしょう」
思い返せば、パ・リーグはセ・リーグに追い付き追い越せで、さまざまなアイディアを練ってきた。1965年から1973年まで巨人が9年連続日本一という前人未到のV9を果たす。当時のパ・リーグの球場には閑古鳥が鳴いており、目算発表にもかかわらず、1965年の1試合平均観客動員数は5956人。セ・リーグの14885人の半分以下だった。危機感を抱いていたパ・リーグは、1973年に前後期制を導入。その年、初めて1万人を超えた。
「現行のルールは、パ・リーグ発のものばかりです。1975年には指名打者制度を導入し、1980年代に入ると開幕戦で予告先発をするなどのアイディアも飛び出した。2004年に現在のクライマックスシリーズにつながるプレーオフ制度も導入したし、2005年から始まった交流戦も何年も前から開始を訴えていた。行動力のあるパ・リーグと腰の重いセ・リーグの体質が、この10年の成績として顕在化したとも言えます」
2005年に始まった交流戦でも、14年間でパ・リーグが13回勝ち越し。セ・リーグの勝ち越しは2009年だけで、日本シリーズと同じく2010年代以降、パ・リーグが圧倒している。それにもかかわらず、観客動員数は今年もセ・リーグのほうが上だった。
「セ・リーグは人気に胡座をかいていると思われても仕方ありません。これだけ負けているにもかかわらず、何の手も打たないと、ますますパ・リーグとの差は広がっていく。新しいアイディアを打ち出したり、まずはパの真似と言われても構わないから、指名打者制を導入するのもありでしょう。パの導入時には批判的で“9人野球”にこだわっていたセですが、とにかく、危機感を持たないとパ・リーグとの差は拡がるばかりです」
打倒パ・リーグへ向けて、セ・リーグが重い腰を上げることはできるか。
NEWSポストセブン2018年11月11日16時00分
https://news.infoseek.co.jp/article/postseven_800380/?ptadid=
「シーズン成績でいえば、2010年は3位のロッテが1位の中日に勝っているし、今年も2位のソフトバンクが1位の広島を圧倒した。甲斐拓也の盗塁阻止が話題になりましたが、パ・リーグの選手はあの強肩をかいくぐってきた。セ・リーグは6球団が団結して何らかの対策を練らないと、このままパ・リーグに置いていかれますよ」(以下「」内同)
1980年代から2000年代まで、セとパの日本一比率は半々だったことを考えると、この10年で両リーグの差が一気に拡がったと考えられる。DH制の有無やドラフトで有望選手が入る確率の高さなどが指摘されている。
「もちろんそれもあるかもしれませんが、やはり選手の育成に力を入れている点が一番でしょう。たとえばソフトバンクは育成に豊富な資金を投入して『3軍制』を敷き、ファーム施設も日本最高クラスと評価も高い。そんなソフトバンクに引っ張られるように、他球団も負けじと設備投資やドラフト戦略に力を入れている。相乗効果で強くなっているのでしょう」
思い返せば、パ・リーグはセ・リーグに追い付き追い越せで、さまざまなアイディアを練ってきた。1965年から1973年まで巨人が9年連続日本一という前人未到のV9を果たす。当時のパ・リーグの球場には閑古鳥が鳴いており、目算発表にもかかわらず、1965年の1試合平均観客動員数は5956人。セ・リーグの14885人の半分以下だった。危機感を抱いていたパ・リーグは、1973年に前後期制を導入。その年、初めて1万人を超えた。
「現行のルールは、パ・リーグ発のものばかりです。1975年には指名打者制度を導入し、1980年代に入ると開幕戦で予告先発をするなどのアイディアも飛び出した。2004年に現在のクライマックスシリーズにつながるプレーオフ制度も導入したし、2005年から始まった交流戦も何年も前から開始を訴えていた。行動力のあるパ・リーグと腰の重いセ・リーグの体質が、この10年の成績として顕在化したとも言えます」
2005年に始まった交流戦でも、14年間でパ・リーグが13回勝ち越し。セ・リーグの勝ち越しは2009年だけで、日本シリーズと同じく2010年代以降、パ・リーグが圧倒している。それにもかかわらず、観客動員数は今年もセ・リーグのほうが上だった。
「セ・リーグは人気に胡座をかいていると思われても仕方ありません。これだけ負けているにもかかわらず、何の手も打たないと、ますますパ・リーグとの差は広がっていく。新しいアイディアを打ち出したり、まずはパの真似と言われても構わないから、指名打者制を導入するのもありでしょう。パの導入時には批判的で“9人野球”にこだわっていたセですが、とにかく、危機感を持たないとパ・リーグとの差は拡がるばかりです」
打倒パ・リーグへ向けて、セ・リーグが重い腰を上げることはできるか。
NEWSポストセブン2018年11月11日16時00分
https://news.infoseek.co.jp/article/postseven_800380/?ptadid=