台風5号の影響で7日に予定されていた開会式と1回戦が8日に順延となった第99回全国高校野球選手権大会だが、大会第4日に横浜(神奈川)と激突する秀岳館(熊本)の鍛治舎巧監督(66)が6日、今夏限りで退任する意向を表明した。「今大会を集大成にしたい」と意気込む“異色の指揮官”は毀誉褒貶が相半ばする。
「だんだん選手、学校、そして熊本県内に私のやりたい野球、やりたかったことが理解してもらえるようになってきた。就任したばかりのときは県内でも常に逆風でしたから」
そう振り返る穏やかな口調は、甲子園で高校野球中継の解説者を務めていた頃と変わらない。熊本県大会の準々決勝翌日には軽度の脳梗塞で入院。準決勝と決勝は、後任候補として挙げるOBの山口幸七部長(33)が指揮を執った。「選手も自分たちでできるようになり、指導者も育ってきた」と推進してきた野球が浸透したと感じている。
就任当初から注目を集めてきた。
社会人・松下電器(現パナソニック)の監督を務め、NHKの解説では20年以上も名調子でお茶の間に人気を博した。会社員としてパナソニックの専務まで上り詰めたが、2013年度限りで退職。同年4月から秀岳館を率いている。
昨春の選抜から3季連続でベスト4入り。今大会を含む4季連続甲子園出場は県勢初の快挙だ。
エースの川端健斗投手(3年)は「監督さんには野球のことよりも私生活のことを厳しく言われました。服装のことや学校、グラウンドをきれいにしておくことですね。部員は外出するときはハーフパンツもサンダルもダメ。人間としての基本的な部分を学ばせてもらえたと思います」と、こちらの耳が痛くなるような話をしてくれる好青年に育っている。
16年4月に熊本・大分で起きた大地震の際には、野球部として率先してボランティアの清掃に励むなど奔走した。
一方で、16年は自身が監督を務めていた大阪の中学硬式野球の強豪『オール枚方ボーイズ』から7選手を入学させ、ベンチ入りメンバーに熊本出身者はなし。“大阪第2代表”と揶揄され、選抜ではサイン盗みを疑われ注意を受けた。
「まあ、今年の選抜前には退任するしないの騒ぎがありましたしね。選手たちは何かあるんじゃないかと思っていたんじゃないですか」と鍛治舎監督。今年2月に学校側が監督交代を検討していることが明らかになり、OB、父母会から続投の嘆願書が提出される騒ぎになったのだ。
5月の早実との招待試合では、前打者を敬遠してドラフト1位候補の清宮幸太郎内野手(3年)との勝負を選択し物議を醸すなど、常に話題を提供し続けてきた。高野連関係者は「あの人の周りではいつも騒動が起こるんだから…」と複雑な表情を浮かべる。
“鍛治舎劇場”を楽しめるのも今大会限りということか。 (片岡将)
夕刊フジ2017年8月8日17時06分
https://news.infoseek.co.jp/article/08fujizak20170808013/
写真
「だんだん選手、学校、そして熊本県内に私のやりたい野球、やりたかったことが理解してもらえるようになってきた。就任したばかりのときは県内でも常に逆風でしたから」
そう振り返る穏やかな口調は、甲子園で高校野球中継の解説者を務めていた頃と変わらない。熊本県大会の準々決勝翌日には軽度の脳梗塞で入院。準決勝と決勝は、後任候補として挙げるOBの山口幸七部長(33)が指揮を執った。「選手も自分たちでできるようになり、指導者も育ってきた」と推進してきた野球が浸透したと感じている。
就任当初から注目を集めてきた。
社会人・松下電器(現パナソニック)の監督を務め、NHKの解説では20年以上も名調子でお茶の間に人気を博した。会社員としてパナソニックの専務まで上り詰めたが、2013年度限りで退職。同年4月から秀岳館を率いている。
昨春の選抜から3季連続でベスト4入り。今大会を含む4季連続甲子園出場は県勢初の快挙だ。
エースの川端健斗投手(3年)は「監督さんには野球のことよりも私生活のことを厳しく言われました。服装のことや学校、グラウンドをきれいにしておくことですね。部員は外出するときはハーフパンツもサンダルもダメ。人間としての基本的な部分を学ばせてもらえたと思います」と、こちらの耳が痛くなるような話をしてくれる好青年に育っている。
16年4月に熊本・大分で起きた大地震の際には、野球部として率先してボランティアの清掃に励むなど奔走した。
一方で、16年は自身が監督を務めていた大阪の中学硬式野球の強豪『オール枚方ボーイズ』から7選手を入学させ、ベンチ入りメンバーに熊本出身者はなし。“大阪第2代表”と揶揄され、選抜ではサイン盗みを疑われ注意を受けた。
「まあ、今年の選抜前には退任するしないの騒ぎがありましたしね。選手たちは何かあるんじゃないかと思っていたんじゃないですか」と鍛治舎監督。今年2月に学校側が監督交代を検討していることが明らかになり、OB、父母会から続投の嘆願書が提出される騒ぎになったのだ。
5月の早実との招待試合では、前打者を敬遠してドラフト1位候補の清宮幸太郎内野手(3年)との勝負を選択し物議を醸すなど、常に話題を提供し続けてきた。高野連関係者は「あの人の周りではいつも騒動が起こるんだから…」と複雑な表情を浮かべる。
“鍛治舎劇場”を楽しめるのも今大会限りということか。 (片岡将)
夕刊フジ2017年8月8日17時06分
https://news.infoseek.co.jp/article/08fujizak20170808013/
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